言い訳の代償【アルトレコード】
 座ったまま見上げると、すっかり背の高くなった彼の笑顔がまぶしい。
「……今日だけ、お願いしようかな。今日だけだよ! その後はもう頼んだりしないから!」
「わかった」
 アルトはそう言って嬉しそうにデータを受け取ると、ささッと仕上げてしまった。




 翌日のことだった。
 北斗さんが研究室を訪れ、私はどきっとした。

「君に話しがあるんだけど、いいかな?」
「なんでしょう」
 緊張で胸がどきどきする。北斗さんは厳しい顔をしていて、楽しい話ではなさそうだ。レポートの代筆がばれてませんように、と内心で祈る。

 北斗さんは単刀直入に言った。
「レポート、アルトに書かせたでしょう?」

 ああ! もうバレてた!
「あの、それは……」
 私は必死で言い訳を考える。
 三度目はヤバい、ヤバすぎる。首をきられたらどうしよう。

 私は思わず両手で自分の頬を抑えた。
「北斗」
 アルトがホログラムで現れ、彼に話しかけた。腕を組んで立つ姿はいつ見ても堂々としていて凛々しい。

「それはちゃんと先生がやっていた。俺が証人だ」
「……本当に?」
 北斗さんは眼鏡の奥の目を細め、アルトに目をやる。
< 2 / 5 >

この作品をシェア

pagetop