言い訳の代償【アルトレコード】
「それは……」
 顔を覗き込む北斗さんから逃れるように私はさらに目を逸らす。

「北斗の目をごまかせるかどうかも検証のひとつだったからだ」
「そうそう、それ!」
 私はすぐさまアルトに便乗した。
 北斗さんは姿勢を戻して、ふーん、と頷いた。まるで信じていなさそうだ。

「じゃあその効果をレポートにして出してね」
「う……はい」
 私はがっくりとうなだれた。代筆を頼んだせいで、かえって仕事が増えてしまった。だけどこれは自業自得だ。

「今後はどんな理由であろうと一切、代筆はダメだよ。君も、わかったね?」
「はい」
 私は素直に頷いたのだが。

「北斗はケチだな」
 アルトはぼそっとつぶやく。と、かちんときたらしい北斗さんは怒りのこもった笑顔とともに嫌味を返す。
「そういうのを負け犬の遠吠えというんだよ。今日も学びがあって良かったね」

「そもそも北斗が仕事をふりすぎなんだ。先生は睡眠時間を削ってまで仕事をしている。俺が先生を帰らせなかったときは説教したというのに」
「だからといって代筆していいものじゃない。負担が大きいならそう申告するべきなんだよ」

 北斗さんとアルトがにらみあう。ばちばちと火花が飛んでいそうだ。
「ほ、北斗さん、ご指導ありがとうございます!」
 私は無理矢理割って入って頭を下げた。北斗さんもアルトも驚いたように一歩下がる。
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