双つの恋、選んだのは君だった
次の日の放課後

サークル活動が終わったあと
樹先輩と偶然エントランスで会った

「紬ちゃん、お疲れさま」

「先輩、お疲れさまです」

少しだけ、昨日のことが頭に残っていた

……でも一応、言っておこうと思って口を開く

「あの…昨日、急に声かけてしまって…
プライベートの時間だったのにすみませんでした」

一瞬、樹先輩の動きが止まった

「……え?」

わたしは一瞬、言葉に詰まった

「……駅の近くで……昨日」

樹先輩は困ったように首を傾げる

「昨日?俺……昨日はサークルの準備資料まとめてたけど」

ドクン――

心臓が一気に跳ねた

(……え……?)

わたしの頭の中が
急にグラグラ揺れはじめた――

でも確かにあれは先輩…だったよね?

――――
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