双つの恋、選んだのは君だった

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樹先輩と別れたあと

わたしはずっと頭の中がぐるぐるしてた

(……先輩は、昨日サークルの準備をしてたって言ってた)

(でもわたしは、確かに昨日…先輩に会った)

“先輩”に間違いないと思ってたのに

言われてみれば…少しだけ声とか、雰囲気とか
…違ってた気もする

だけど顔は
ほとんど同じだった

(じゃあ、あれは……?)

でもすぐに答えは出なかった

考えれば考えるほど
モヤモヤが大きくなる

(私、何か勘違いしてる……?)

胸の中の違和感は
どんどん膨らんでいった

***

その翌日

サークルに入ると
樹先輩はいつも通りだった

「紬ちゃん、おはよう」

「……おはようございます」

……本当に、いつも通りで

その”普通さ”が逆に胸をざわつかせる

サークル活動中も
集中しようとしても、昨日のことが何度も頭をよぎった


答えは出ないまま
その日は静かに過ぎていった――

――――
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