溺愛の業火
『その後3』
放課後。
今日の作業は無いけれど、生徒会の仕事が早く終わると言うので教室で待機。
机の上、頭を横にしてウトウト。
どれくらい時間が経ったのかな。
「寝てるの?」
優しい一颯くんの声。
それに安心して、髪をクシャクシャと撫でるのが分かるけれど、反応も面倒でされるがまま。
「ねぇ、そんな無防備を他の奴に見せたら許さないよ?」
私の頬にかかった髪を指で流し、耳にかける。
口元に指で起きろと、優しい刺激。
「キスしたら、目が覚めるかな?」
そう言って唇に指を近づけ、端から撫でた。
細く目を開け、寝たままの体勢で笑みを浮かべてみる。
そんな私に笑顔を返すのが愛おしくて。
そっと口を開け、近づけていた指をパクリ。
彼の視線が鋭くなるのが分かる。
怒りじゃなく、煽ったからだよね。
私に『あんな事』をしたのに、未だにあれ以上のことをしようとしない。
「痛っ!」
歯を立てて満足感に浸る私は、ざまあみろと目を上げた。
けれど。彼は、しょうがないなぁみたいな、優しい苦笑。
あの時以上に、あなたに何をされても許せてしまう。
私の想いは膨らんで、あなたの愛情が足りない。