溺愛の業火

『松沢くんの恋3』


体育の着替えの為、女子更衣室は混雑していた。
そんな中で視線を感じ、後ろを振り向く。

そこに居たのは3人。
私と視線が合ってから、狭いのに詰め寄って来た。

「篠崎さん、清水くんとはどこまで?」
「体に、痕とかないの?」

目を輝かせて質問攻め。

「あはは。まだ、そんな関係じゃないのよ~。」

眼が泳いで、適当にはぐらかした。

「何だ、そっかぁ。付き合ったばかりだもんね。」
「ほら、清水くんは真面目だから。」
「また詳しく教えて。」

女の子は恋話が好きだな。

ふふ。真面目だからって、手を出さないとは限らないですけどね。
今は不味い。思い出すと、恥ずかしくて顔が熱くなるから他の事を考えよう。

体をロッカーの方に向け、上服を脱いだ。
ふと、視線に入った物に思考停止。

隣の女の子の鎖骨に、キスマーク。

思わずガン見して、誰なのか確かめる為に視線を顔に移動。
嘘。クラスで静かな子だよ?大人しいイメージがあるのに!

確か、放課後は図書室によく居るよね。
部活にも入らず、放課後に独りで小説とか……ん?

「どうかしましたか?篠崎さん。」

「あの、その。」

見ていたのに気づかれ、慌てて言葉が出ない。


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