溺愛の業火
俺の冷たい視線に、口を尖らせて怒りを露わにする。
「あるに決まってんだろ、誘ったのは向こう……っ。」
慌てて口を塞いだけれど、怒りに我を忘れて、言ってはいけない言葉が滑って出てしまったんだな。
「ばぁ~か。」
そう言いつつ思わず笑ってしまう。
「はは。本当に恋って、人を馬鹿にしてしまうね。くくっ……以後、気を付けるよ。ありがとうな、松沢。」
納得いかないような拗ねた表情で、松沢は俺を睨んで無言。
「ふ。珍しく俺が感謝してるんだから、素直に受け取ってくれよ。」
「ふん。恋愛音痴のくせに。……はぁ~、俺の親切心をいつも無下にするんだからな。」
少し機嫌が直ったのか、苦笑を見せた。
「篠崎の愛情につけこんで、せいぜい嫌われないようにな。」
あ、思い出した。
「甘いキスに溺れたのは、俺だけじゃないと言ったのはお前だろ?」
そう、和叶も望んだんだ。
kiss…………