溺愛の業火

それが体を、思いもよらない行動へと誘う。
私はそっと顔を近づけ、彼の目元に軽いキスを落とした。

私に視線を向けたままで一時、見開いた目。
何が起こったのか理解できていないようだ。

手首に加わる力が強くなる。
一瞬で焦りが生じた。

自分が何をしたのか私自身が理解して、彼も理解したんだろう。

「和叶。」

彼に名前を呼ばれ、私は気恥ずかしさで視線を逸らす。
手首を掴んだまま、彼は身を寄せるようにして立ち上がった。

近い距離。

視線を逸らした私には、彼の表情や感情は読み取れない。
目をぎゅっと閉じ、体を逸らして身構える。

「和叶、こっちを見て。俺の方に向いて。」

優しい声に安堵して、体の緊張が緩む。
ゆっくり視線を向けると、彼は真剣な眼差しで私を見ていた。

心臓が跳ねるように、速さを増していく音。


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