溺愛の業火

息苦しい。
どんな表情をしていいのか分からない。

視線がさ迷う私の戸惑いを知ってか知らずか。
彼は私の額に口づける。

そして目元や頬をなぞるように、微かに触れる愛撫。
息遣いが伝わる。

もう時間が経って、落ち着いた後だから走ったからではない。
少し乱れた吐息。私への欲情。

煽ったつもりなんかない。
だけど。望んでしまう。

目を真っ直ぐ向けて、そっと閉じていく。
顔を上げて彼の唇を誘った。

優しく重なるキス。
目を開けると、切れ長の目が私を捕らえ、深く沈むような強い口づけ。

息苦しさに甘さが入り交じり、熱と言い表せない感覚が思考を乱す。
恋い焦がれて、彼の愛情が足りない。

私の身を滅ぼすような想いは貪欲に染まる……





end
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