溺愛の業火
「やっと手に入れたのに、失いたくない。帰ろうか。」
俺は何を間違えたのかな。
どんな顔を自分がしたのだろうか。
和叶は俺に、悲しそうな表情で無理した笑みを見せる。
「ごめん。」
謝った俺に、君は困ったような素振り。
途中で止めて、俺は物足りない。君の為だと自分を抑えたんだ。
だけど和叶の『気持ち』は。
まさか。
期待してもいいのかな。
「俺は、もっとキスしたい。和叶がどうしたいか、言って。」
さっき君からキスしたいと言ってくれたよね。恥ずかしかったよね。
だけど、もっと素直な俺への愛情を頂戴。
君に溺れて、優しくも意地悪もしたいんだ。
制御できない。
「もう少しだけ。」
甘えるように俺に寄り掛かり、顔をうずめて小さな声。
「このまま?」
可愛い。
湧き上がる愛しさ。
もっと甘えて欲しい。
君が何を考えているのか教えて。
「意地悪。」
そうだよ、君は優しいから許してくれるよね?
「ふふっ。好きだよ。和叶も俺の事を好きだよね。言ってよ、何でも俺はするから。甘えて。」