溺愛の業火

お約束:side清水

お約束:side清水

和叶が求めるのが何なのか、分かったようで答えが出ない。
自分の欲望のまま彼女に触れて良いのか、迷いと不安。

柔らかい。
男とは違う。

そうだよな、松沢がふざけて絡ませる固い腕と同じ扱いなど。
あいつのは振り払っても折れたりしない。

だけど和叶の腕は細くて、ガラスのように簡単に壊れてしまいそうだ。
肩や首元も、何て華奢で美しいのだろう。

松沢の腹は殴っても耐えられる。
だけど。

白い肌。
手を乗せるだけで沈む。

馴染む様な柔さと温もり。
火照った体が、淡く色づいていく。

彼女の乱れた息遣い。
自分の呼吸も加速するように荒くなる。

「和叶は幻滅しないかな。」

彼女の気持ちに応えられる自信がない。

「あなたこそ、私に幻滅してるんじゃないの?」

和叶に?どうして、そう思うのかな。

「ただ、このまま優しく抱きしめるだけでいいかな。欲望のままに触れるのは、壊してしまいそうで怖いから。」

臆病な自分を素直に告げて、足りないと言う彼女の反応を観察。


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