溺愛の業火
「彼女は、そんな覚悟をしてない。俺は自重すべきだろ。必要ない。」
「馬鹿か!好き合った二人が、イチャイチャして当然だろ。邪魔した俺が言うのも、おかしいけどな。1箱置いて行くから、自分で勉強しろ。……ごめん、八つ当たりした。」
心配してくれたのは本当なんだろうな。
松沢は相手と上手くいくより、関係が悪化しているんだろう。
「ふ。ドロ沼。」
これぐらいは許してもらおうか。
「好きなのにな。彼女を周りから守るつもりだった。護っているんだと自己満足して、結局は追い詰めたのが俺だよ。」
ヤサグレて落ち込んだ松沢に、これ以上は酷か。
「仲直りだな。」
「それは、俺と?それとも篠崎と?」
和叶とは、喧嘩した覚えがないんだけど。
謝ったし。
「お前は、誰に許してもらいたいの?」
質問で返した俺に、松沢は苦笑を見せた。
「くく。コレ、実践で見せてやろうか?」
「断る。」
機嫌が直ったのか少しの余裕なのか、いつもの松沢に戻った気がする。
「コレは保留かな。」
まずは勉強だ。