溺愛の業火

彼の右手が私の顔の横に置かれ、窓際に追い詰められてしまった。
あれ、これって窓ドン?

一颯くんの近づく顔に、思わず手の平で防御。

しまった。
彼の目は私を責めるように細くなる。

謝らないといけないんだけど。
今、それを言えば不味いような雰囲気。

私の口は、言葉が出ずに閉じてしまう。
そんな私の様子に、ため息が出たのか熱い風が手に当たる。

私の身体が少しだけど反応。
ずっと見つめていたから、それを見逃すはずがない。

一颯くんは私の手首を捕らえる。
状況に付いて行けず、戸惑っていると……

手の平に生暖かい感触。
背筋がゾワッとするような感覚。

柔らかい感触は滑るように、指の間まで移動。
彼の舌が、私の指を包むように舐めとる。

息苦しくて、唾液を呑み込んだ。

「あっ。私の手、汚いから。ヤダ、止めて。」

必死で彼の掴む手を振りほどこうとするけど、離してくれない。
目は私を睨んだまま。


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