クズ彼氏の甘く危険な呪縛
「なぁ……ヨリ。……レオって、呼べ」


肩に額を乗せたまま、ぼそりと命令するような声。

思わず息を呑んだ。決して優しいトーンじゃない。でも拒めない、気配があった。
それに、せっかく落ち着いたのに、拒否してまた興奮してほしくなかった。


「……レオ」


恐る恐る呼ぶと、レオくんは満足したように首に顔を寄せて、息を吐いた。
……やっぱり、慣れない。心の中では、まだレオくん呼びのままだ。


「そう。いいじゃん、これからずっとそう呼べよ」


静かな部屋に、レオくんだけの声が落ちる。さっきまでの、惨状が嘘みたいに穏やかな空気──けれど、私はレオくんの吐き出した息に、どこか棘のようなものを感じていた。


「もっとさ、見せつけろよ。誰のもんかって、わかるくらいに」


耳元で囁かれたその言葉に、胸がぎゅっと締め付けられる。


「う、ん……」


頷くことしかできなかった。ううん、本当は言いたかったのかもしれない。

私は、レオくんの"モノ"で、レオくんの"彼女"で、レオくんの……。

なのに、見せつけるほどの価値が、自分にあるとは思えなくて。口を閉じた。
< 36 / 138 >

この作品をシェア

pagetop