クズ彼氏の甘く危険な呪縛
レオくんの指先が頬をなぞり、爪を立て、痛みを与えるように触れてくる。


「ヨリ、泣いて。お前は俺のことで泣いてるときが、一番かわいい」


その言葉にどう返せばいいかわからなくて、困ったようにレオくんを見上げる。

レオくんは満足そうに目を細めて、私の頭を撫でた。けれど、その手は、まだどこか熱を帯びていた。


「……俺の腕の中で泣いて、縋って、震えてろよ」


そう呟いた、レオくんの瞳は加虐心に満ちていて、そのまま私の首筋に触れる。
ぴくりと、肩が震えるけど、逃げようとは思わなかった。

ドクン、ドクン、と鼓動が早くなる。
首筋に触れた手の熱が、じわじわと皮膚の奥にまで染み込んでくる。


「やめた。今日は見逃してやる」


パッと、手を離して、今度は私の唇を親指でなぞり、顔を寄せてくる。
ゆっくりと触れるキスは、優しすぎて、逆にこわい。
さっきまで人を殴っていた手が、今は私の頬を撫でているなんて、現実味がない。
──けど、レオくんは、そんな自分を少しも恥じてない。


「ヨリは……俺のだよな?」


返事をする前に、抱きしめられた。ぎゅうっと、痛いくらいに。

苦しい。だけど、あたたかい。
もっと、もっと強く抱きしめてほしくなる。
逃げたい、なんて思わない。ただ、大好きな人に抱きしめられる喜びを噛みしめた。


「うん……レオくんの"モノ"だよ」


仄暗い喜びで声が震える。でも、レオくんは嬉しそうに笑った。
その笑顔が、どうしようもなく狂ってて、どうしようもなく愛おしかった。
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