クズ彼氏の甘く危険な呪縛
2章
浮気
はっきりとした証拠はなかった。
……違う、本当は――気づいていた。
たとえば、家に帰ってきたときのレオの匂い。
レオのじゃない香水の匂いが、ほんのりとシャツに染みついている。
たとえば、ポケットに入っていたレシート。
私とは使ったことのないソレを買った跡。
たとえば、スマホ。
今までロックなんてかけてなかったのに、突然かけるようになったこと。
たくさんの”たとえば”が積み重なって、そのどれもがこれもが私の心を静かに蝕んでいった。
だけど、それでも――違う。そう思いたかった。
私の知らないレオ。けど私の、私たちの居場所に帰ってきてくれるから。
「愛してる」とお呪いのように言ってくれる。
だから、必死に目を逸らし続けてきた。
大丈夫。まだ……大丈夫。そう、自分に言い続けて。
……違う、本当は――気づいていた。
たとえば、家に帰ってきたときのレオの匂い。
レオのじゃない香水の匂いが、ほんのりとシャツに染みついている。
たとえば、ポケットに入っていたレシート。
私とは使ったことのないソレを買った跡。
たとえば、スマホ。
今までロックなんてかけてなかったのに、突然かけるようになったこと。
たくさんの”たとえば”が積み重なって、そのどれもがこれもが私の心を静かに蝕んでいった。
だけど、それでも――違う。そう思いたかった。
私の知らないレオ。けど私の、私たちの居場所に帰ってきてくれるから。
「愛してる」とお呪いのように言ってくれる。
だから、必死に目を逸らし続けてきた。
大丈夫。まだ……大丈夫。そう、自分に言い続けて。