クズ彼氏の甘く危険な呪縛

不正解

ぬるま湯のような、夜の空気。
外の街灯がぼんやりと頼りなさげに照らす部屋で、レオと並んでソファに座っていた。

静かで穏やかな時間。
抱かれた肩からにじんだ熱が心地良い。
なにもしなくても、隣にいてくれることに胸があたたかくなる。

……いつまでも、この時間が続けばいい。

そんな考えがよぎるたび、私は少しだけ彼の袖を握る力を強くした。
今この瞬間は私だけのレオだと感じることを許してほしい。

ピコン

と、静寂を破る軽い音がした。レオのスマホからだった。
閉じかけていたまぶたを上げると、画面には女の子の名前。

一瞬だけ見てしまい、すぐに顔ごと逸らした。何事もなかったように、レオの隣で息を潜める。


「……ヨリ」


呼ばれてなるべくスマホを見ないように、顔を向ける。


「呼ばれたから行ってくる」

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