幼馴染のその先へ
ー冷たい空気ー
翌朝
目が覚めても
昨日の美奈の背中がずっと頭から離れなかった
“…ほんとに行ったんだよな”
玄関まで行く気にはなれなくて
また一人で学校へ向かった
空は薄曇り
今日の空気はやけに冷たく感じた
教室に入ると
すでに美奈は来てた
俺が入ったのに気づいて
ちらっと視線を上げるけど――
すぐに目を逸らされた
「……おはよ」
小さく、美奈が先に言葉を落とす
「…おはよ」
そのまま
会話は途切れた
机の上で美奈の指が小さくカタカタと動いてる
緊張してんのか
イライラしてんのか
もう どっちなのかも分かんねぇ
でも
昨日の背中思い出すたびに
胸の奥がズクズクと痛んだ
昼休みも結局
互いに目を合わせることはほとんどなかった
友達はいつも通り周りで喋ってるけど
俺と美奈の間だけ空気が違った
ほんの数週間前までは
あんなに自然に話せてたのに
放課後
俺は帰り支度をしていた
今日も…また一人で帰ろうとしたときだった
ガタン!!
廊下の方から
鈍い音とざわめきが響いた
「え、美奈?!」
友達の声が聞こえた瞬間
心臓が跳ねた
気づいたら
走り出してた
中庭の階段下
そこに、美奈が座り込んでた
足を押さえてる
「おい!美奈!!」
美奈が驚いた顔で俺を見上げた
「…怜…?」
「大丈夫か!?」
「…ちょっと、足…くじいた、かも…」
額にうっすら汗が滲んでる
「バカ…」
思わず声が震えた
ほんとに
冗談になんねぇくらい、心臓が締め付けられた
「立てるか?」
「…無理、かも」
その言葉を聞いた瞬間
自然に俺は美奈を支えながら抱き上げてた
「ちょ、怜!?…あの…」
「うるせぇ、黙っとけ」
顔を隠すように美奈は小さく俯いたまま
ほんのり耳が赤く染まってた
周りの視線も気にならなかった
もう
今さら誰が見てようがどうでもよかった
ただ美奈の体温と
微かに震える指先だけが伝わってきた
“…どんだけお前が大事だったか
いちばん分かってなかったのは俺だよな”
そう心の中で何度も呟きながら
保健室へ向かって足を進めていった
目が覚めても
昨日の美奈の背中がずっと頭から離れなかった
“…ほんとに行ったんだよな”
玄関まで行く気にはなれなくて
また一人で学校へ向かった
空は薄曇り
今日の空気はやけに冷たく感じた
教室に入ると
すでに美奈は来てた
俺が入ったのに気づいて
ちらっと視線を上げるけど――
すぐに目を逸らされた
「……おはよ」
小さく、美奈が先に言葉を落とす
「…おはよ」
そのまま
会話は途切れた
机の上で美奈の指が小さくカタカタと動いてる
緊張してんのか
イライラしてんのか
もう どっちなのかも分かんねぇ
でも
昨日の背中思い出すたびに
胸の奥がズクズクと痛んだ
昼休みも結局
互いに目を合わせることはほとんどなかった
友達はいつも通り周りで喋ってるけど
俺と美奈の間だけ空気が違った
ほんの数週間前までは
あんなに自然に話せてたのに
放課後
俺は帰り支度をしていた
今日も…また一人で帰ろうとしたときだった
ガタン!!
廊下の方から
鈍い音とざわめきが響いた
「え、美奈?!」
友達の声が聞こえた瞬間
心臓が跳ねた
気づいたら
走り出してた
中庭の階段下
そこに、美奈が座り込んでた
足を押さえてる
「おい!美奈!!」
美奈が驚いた顔で俺を見上げた
「…怜…?」
「大丈夫か!?」
「…ちょっと、足…くじいた、かも…」
額にうっすら汗が滲んでる
「バカ…」
思わず声が震えた
ほんとに
冗談になんねぇくらい、心臓が締め付けられた
「立てるか?」
「…無理、かも」
その言葉を聞いた瞬間
自然に俺は美奈を支えながら抱き上げてた
「ちょ、怜!?…あの…」
「うるせぇ、黙っとけ」
顔を隠すように美奈は小さく俯いたまま
ほんのり耳が赤く染まってた
周りの視線も気にならなかった
もう
今さら誰が見てようがどうでもよかった
ただ美奈の体温と
微かに震える指先だけが伝わってきた
“…どんだけお前が大事だったか
いちばん分かってなかったのは俺だよな”
そう心の中で何度も呟きながら
保健室へ向かって足を進めていった