ネオンー教えてくれたのは"大人な恋"ー




 

営業が終わる頃
私は裏口で悠を待ってた

スタッフが次々と帰っていく中
少し遅れて悠が出てきた

「…待たせた」

「ううん」

夜の街は静かで
さっきまでの店の喧騒が嘘みたいだった

 

並んで歩き始める

最初はお互いに無言だった

でも、ずっと胸の奥に溜めてたものが
もう抑えきれなくなってた

 

「…ねえ」

「ん」

「やっぱり…苦しいよ」

足を止めずに
ぽつりと呟く

「今日もさ…普通に他の人と楽しそうに話してたの見たら…」

声が震えそうになるのを必死に抑えた

「仕事ってわかってるけど…」

「……」

悠は何も言わず、ゆっくり歩き続けた

 

「私だけだよね?」

とうとう立ち止まってしまった

「お客さんじゃなくて…恋人は私だけだよね?」

 

悠も立ち止まり
ゆっくり振り返った

 

「玲那──」

その声が思った以上に優しくて
涙が溢れそうになる

 

悠は無言のまま私の手を取って
ゆっくりと自分の胸元まで引き寄せた

「お前だけだよ」

低い声で
はっきりと言ってくれた

「仕事だから、ああいう対応はするけど──
恋人はお前しかいない」

 

胸がじわっと熱くなる

「……ほんとに?」

「ほんとだ」

「嘘だったら許さないから…」

小さく笑いながら
私はそっと顔を埋めた

悠の手が優しく私の頭を撫でてくれる

「玲那は…ほんと可愛いよな」

「……可愛くなんてない」

「十分すぎるくらい」

 

この瞬間だけは
仕事も年齢差も全部忘れて
ただ私だけの悠だった
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