月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
ジャラールさんやハーキムさんは、目の奥に優しさを湛えているけれど、この人の瞳の奥は……

燃え盛る砂漠の太陽のよう。

情熱的で、絶対的な強さを持ち合わせている。

「ジャラール王子の妃になるのか?」

「いえ!そんな話は、一度もされてません!」

「なぜだ?ジャラール王子の恋人なのだろう?」

その真っ直ぐな質問に、私は下を向く。

「一緒になれない、理由があるのか?」

私はゆっくり、頭を横に振った。

一緒に暮らせない理由。

それは……



私が異世界から来た、ただの高校生だから。



私は、両足をぎゅうっと、抱き抱えた。

「……どこの国も似たようなものなのだな。」

「えっ?」

顔を上げてヘサーム王子を見ると、石をくり貫いた窓から、星空を見上げていた。

「生まれた時から何不自由なく暮らし、着る物も困らず、食べる物も困らず。街に出ればどこに言っても、私と父上の写真が貼ってある。恵まれた環境とは、こういう事を言うのだろう。」

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