月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
そう言えば、タンナーズさんの話の中に、お忍びで街に来て、お店の人達にも買い与えてくれたというヘサーム王子。

慈悲深い部分も持ち合わせている、未来の国王候補なのだろう。

「だが、一つだけ。自分の意思では、決められない事がある。」

「一つだけ?」

「自分の妃だ。王族の妃は、王族の中からしか選ばれぬ。その中でも第一王妃は、近隣の王族からしか迎えられぬ。」

久々に胸が痛くなった。

だってヘサーム王子には、確か見送りに来ていた、お妃様がいたはず。

「と、言う事はあのお妃様も……」

「ああ。モニーレフは砂漠の外れの国から来た。海も近く外国との交流も盛んだ。それを我が国にもと望んだ父上が、ぜひ未来の王妃にと、申し込まれたのだ。」

う~ん。

いつかオアシスに野宿した時、ジャラールさんがいろんな国のお酒が、あの宮殿にはいっぱいあるって言ってたっけ。

それって、そういう事?


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