月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「じゃあ、タンナーズさんは……王族じゃないから、一生お妃になれないのですか?」

「ああ、そうだ。この国ではそうだ。他の国へ行けば、違うやもしれぬ。だが私はこの国の皇太子だ。他の国へ行く事は許されない。」

今まで、幸せそうな顔でヘサーム王子の事を話していたタンナーズさんが、可愛そうで仕方ない。

「なあ、クレハ。」

ヘサーム王子は、私の頬にそっと、指を添えた。

「もしジャラール王子に妃として迎えて貰えぬのであれば、私の元へ来ないか?」

「ええっ?」

あまりにも唐突な話に、目が飛び出しそうになるんですけど。

「もちろん、妃としてだ。碧のオアシスは枯れない湖として、砂漠では有名だ。その精霊の使いなら、我が国の者達も反対はせぬ。どうだ?その力で、私を支えてはくれぬか?」

強く惹かれる言葉。

油断すると、心まで持っていかれそうだ。


「ヘサーム王子。手をお離し下さい。」

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