月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
ヘサーム王子を、じっと見続けた。

「あなたが必要としているのは、私という人間ではなく、オアシスの精霊の力なのでは?そのような方の元には、私は参りません。」

するとヘサーム王子は、頬に添えてあった指で、私の顎をクイッと上げた。

本場王子の顎クイだよっ!

落ち着け!私!!


「それだけはではないと、申したら?」

真っ直ぐな瞳。

「そなたは、自分が間違っていると思った事は、例え王の前でも、堂々と言葉にできる人間だ。男の顔色を伺って、正しい事を正しい、間違っている事も間違っているとは言えぬ、男の影に隠れているような女とは違う。」

「ヘサーム王子……」

「私には、そのような妃が必要だ。国民に取って何が正しいのか、正面から申してくれる女だ。一緒に、戦ってくれる女だ。」

私の胸の中で、小さな波紋が広がっていく。

嬉しい。

けれど、それは……

「それは……生まれ育った環境のせいだと思います。」

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