月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「へ、ヘサーム様!?」

戸惑ったタンナーズさんは、私の近くに食事を置くと、ジャラールさんを見た。

「私は、あちらで食べてきたので。」

「あっ、じゃあ……クレハの分だけ、ここに置いていきますね。」

そう言ったタンナーズさんは、お盆を持ちながら、ヘサーム王子の後を追って行った。


近くに置かれた食事を、ジャラールさんは私に、渡してくれた。

「ありがとうございます。」

汁の多いお粥みたいなモノ。

暑い砂漠を移動してきた後は、食べやすい。

私が座って一口食べると、ジャラールさんは私の横に座った。

「ヘサーム王子に、何を言われた。」

「何も……」

「嘘をつかなくてもいい。クレハの顔を見れば、何かあったのは分かる。」

そこまで私の事をわかってくれるなんて。

でも言えない。

ヘサーム王子に、妃になってくれって、言われたなんて。

「どうしても、言えぬか?」

「ごめんなさい。」

< 205 / 354 >

この作品をシェア

pagetop