月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
すると、私をじーっと見ていたジャラールさんは、こんな事を言い出した。

「当ててやろうか。」

「えっ?」

「ヘサーム王子に、求婚されたのだろう。」

驚いてお椀を落としそうになった。

「しばらく前から影に隠れて、二人の会話を聞いていた。」

「どうしてそんな事を!」

「会議をしている場所から、クレハとヘサーム王子が二人きりになっているのが見えたんだ。心配して来るのは当然だろう!」

でも私は心底、その言葉を受け止められなかった。

だって、あのヘサーム王子との会話を、聞かれていたなんて。

「どうして、はっきり断らない?」

「断ったわ!」

「いや、断っていない!クレハには俺がいるからと、なぜはっきり言わない?」

「それは……」

涙が出てくる。

だって私、まだジャラールさんに“付き合おう”なんて言われていない。

「ヘサーム王子の方がよくなったか?」

「違う!」


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