月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「あっちがよければ、ヘサーム王子の元へ行けばいいだろう。」

そう言うとジャラールさんは、荷物を持ってどこかへ行ってしまった。

荷物を持っていったという事は、今夜は一緒にいてくれないって事?

「……っ」


皆は私の事を、ジャラールさんの恋人だと言うけれど、実際私達は、付き合っているわけじゃない。


「……うううっ」


恋人でもない。

将来も見えない。

いつまで一緒にいられるか分からない状態で、独りよがりな気持ちを言えって言うの?

そんなの酷だよ。

言ってほしいなら、信じさせてくれるモノを頂戴よ、ジャラールさん。


持ってきた荷物の中から、毛布を取り出す。

それを被って、星空を見上げた。

月だけが綺麗に、浮かんでいる。


「クレハ?」

会議を終えたハーキムさんとナディアさんが、戻ったきた。

「寝る場所を変えるそうだ。支度をしろ。」

そう言って、ジャラールさんもナディアさんも、自分の荷物を持ち上げた。

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