月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「私は行かない。」

「はあ?」

私は毛布をぎゅうっと被った。

「砂漠で、一人で休むのは無理だ。暖を取らなければいけないし、誰かが見張りをせねばならぬ。」

「……知っています。」

これでも、砂漠の旅は経験済みなんだから。

「だったら我が儘言わないでくれ。さあ、クレハ。」

ハーキムさんが手を差し出してくれたけれど、私はそのままだった。


「ハーキム。私がクレハ様に付いているから、お前はジャラール様の元へ行け。」

するとジャラールさんは、はあっとため息をついて、その場に座った。

「ジャラール様の元へは、お主が行け。」

「おい、ハーキム。立場を間違えるなよ。ジャラール様の侍従はお前で、クレハ様の護衛を任されているのは、この私なんだぞ?」

「そんな事は百も承知だ。だから逆にジャラール様の側に行けるのは、嬉しいだろ?」

「へ?」

私はナディアさんを見た。

真っ赤な顔をして、タジタジだ。

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