月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
ボッという音がして、辺りが明るくなる。

足元も、暖かくなってきた。

「クレハ。俺は何も、力ずくでお前をモノにしたいと、言っているわけではないのだ。クレハの気持ちが、ジャラール様にあるのは、知っている。だから、いつかクレハから俺に歩み寄ってくれるまで、待つつもりだったんだ。それだけは、分かってくれ。」

「うん……」

知らず知らずのうちに、涙が一粒流れていた。

そんな事、ハーキムさんに言って貰えるような、女じゃないのに。

って言うか、ラナーと結婚するとか言ってるのに、なんで私を口説きにかかるのよ、ハーキムさん。

私ってば、いつもそう。


光清の時には、ときわがいて。

ジャラールさんの時には、ネシャートさんがいて。

ヘサーム王子に言い寄られたら、タンナーズさんがいるし。

ハーキムさんに口説かれたと思ったら、ラナーがいるし。

誰もいない人って、いないのか!

そして私は、もっと惨めになった。

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