月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
明け方、私はハーキムさんがうたた寝している時を見計らって、石の宮殿を跡にした。

そう。

碧のオアシスに行く為。

一人で駱駝のところに来たのは、ナディアさんはジャラールさんにとって、必要な人だし。

昨日、ヘサーム王子からあんな事言われたから、タンナーズさんには、声掛けづらいし。

ジャラールさんとは、あれっきり会ってないし。

ハーキムさんに言ったら、絶対付いてくるし。

気まずい。

本当に気まずい。

だから、一人で行く事に決めた。


問題は、一人で駱駝に乗れるかだ。

もちろん、ここで乗ったら絶対周りにバレるから、手で手綱を引いていく。


ごめんなさい、ジャラールさん。

一人で来てごめんね、タンナーズさん、ナディアさん。

用が終わったら、砂漠の国へ行くから、心配しないで、ハーキムさん。

砂漠の国を助けて下さい、ヘサーム王子。


そして私は、手綱を引きながら、一人砂の砂漠へ、歩みを進めた。

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