月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】

オアシスの力

宮殿を出た後、砂漠までやってきた。

たまに駱駝に乗ってみるけれど、一歩も動いてくれない。

仕方ないから、荷物だけ駱駝に乗せて、私は歩くことにした。

「ホント、いい根性してるわよね。」

チラッと駱駝を見たけれど、ふいっと反対側を向かれる。

おかしいな。

ハーキムさんと一緒に乗ってきた駱駝を、連れてきたつもりなんだけどな。

はっ!

もしかして、ハーキムさん以外、言う事を聞かないとか!

「そこまでハーキムさんに、義理を立てなくてもいいよ~」

と言うより、一緒に私、乗ってきたじゃんと、駱駝相手に突っ込みを入れたい気持ち。


「それにしても、遠いな。」

碧のオアシスには、前回の旅の時に、一度通った。

けれど、ほとんだ砂だらけ。

この道というより、この方向でいいのかも、迷ってしまう。

「ううん。」

私は、頭を左右に激しく振った。

「一人で出てきたんだから、泣き言は言わない。」

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