月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
砂嵐の中、私を助けてくれたのは、誰よりも好きな人だった。

ジャラールさんが盾になって、私を砂嵐から守ってくれている。

私が乗ってきた駱駝も、ジャラールさんが乗ってきた駱駝も、どこに行ったか分からない。

ただ耳元を、嵐の音が過ぎ去って行くだけだった。


長いこと、ジャラールさんの胸の中でじっといた。

どれくらい経ったのか、分からない。

以前、ハーキムさんも混ざって砂嵐に巻き込まれた時は、すぐ去っていったって言うのに。

「まだ?」

「もう少しだ。」

ジャラールさんの声が、すぐ側で聞こえる。

ケンカしてから、口も利いてなかったから、余計嬉しく感じる。

こんな時なのに恋しくなって、ジャラールさんをぎゅっと抱き締めた。

するとジャラールさんも、私を強く抱き締めてくれる。


砂嵐の中なのに、ここだけ二人の世界になっていた。

やがて、ザザザーァっと、砂の塊が去って行った。

< 223 / 354 >

この作品をシェア

pagetop