月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
ただ、オアシスの精霊の力が弱くなっている中で眠ってしまうと、私は現実に戻ってしまう恐れがある。

目を瞑って、寝た振り寝た振り。

「クレハ。よかったな、ジャラール様が来て。」

ハーキムさんが、話しかけてきたけれど、無視。

「どうせ、寝た振りをしているくせに。」

うるさいな。

私は寝返りを打った。

「どうせ眠らないのであれば、私の代わりに見張りをしてほしいものだ。」

そう言ってハーキムさんは、大きな欠伸をする。

へいへい。

分かりましたよ。

私が起き上がろうとした時だ。

ジャラールさんの腕が、それを邪魔する。

「クレハ……どこに行く?」

寝ぼけながら、私が動こうとしている事は、察知しているよう。

私は再び、ジャラールさんの隣で、横になった。


「羨ましい限りだな。」

でもハーキムさんの顔は、ちっとも羨ましくなんて、思っていない!

「自分だって家にいる時は、一緒に寝る奥さん、選びたい放題じゃないですか。」

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