月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
ジャラールさんもハーキムさんも、慌てて駱駝に乗ったけれど、暗闇の中、もうその姿は見えなくなってしまった。

「どこへ連れて行くの?」

「ザーヒル様のところだ!」

敵はそのまま、暗闇の中の砂漠を、駱駝で駆けて行く。

「あなたは、ザーヒルの家来?」

「そうだ。」

「だとしたら、ザーヒルが間違いを起こしている事は、分かっているでしょう!」

「うるさい女だ!黙ってろ!」

私は背中を思いっきり殴られ、そのまま意識を失ってしまった。


「……葉?紅葉?」

目を覚ますと、私は家のベットの上。

「うなされていたけれど、大丈夫?」

私の顔を覗いたのは、母親だった。

「戻ってきたの?」

かばっと、私は起き上がる。

「やっぱりまだ、起きてはいけないタイミングだったのね。」

起こす事を迷ったらしい母親は、うんうんと頷いている。

「はあ~。でも起こしてもらって、助かったかも。」

「えっ?」

私は枕の上に、顔を埋めた。

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