月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「実は敵に捕まってさ。気絶させられたんだよね。」

「気絶!?」

絶句している母親の前で、私は大きく息を吐きながら、またベッドにダイブした。

「それ、大丈夫なの?」

「大丈夫じゃないけれど、武器持ってないし。」

すると母親は、私の部屋を出て、階段を駈け降りた。

自分の子供が敵に捕まっているって、余程ショックなのか。

現実ではないんだけれど、驚くよね。

しばらくして何故か、また階段を駈け上がる音がした。

「紅葉!」

入って来たのは、今出ていった母親だった。

「これ持って行きなさい!」

差し出されたのは、フライパン。

「は?」

「これでその敵を蹴散らしなさい!」

真面目にフライパンを私に渡してきた母親。

いや、これ持ってたって、どこに隠し持っていた?って事になるじゃん。

「それとも包丁?」

一瞬、それで敵を刺せる!と思ったが、敵を刺した包丁で料理されても困る。

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