月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「どうした?」

「いや、命令以外の事も言えるんだなと思って。」

無表情だったその男の顔が、少しだけ歪む。

「悪かったな。幼い頃から、そのように振る舞えと教えられたのだ。」

「へえ~。」

もしかして、どっかのお坊っちゃんなの?


はっ!

なんかこの話、どっかで聞いた話だ!

そうそう。

ザーヒル!

あの悪人、実は王様のお兄さんの、唯一の息子だったもんね。


「もしかしてさ、どこかの国の王子様なの?」

ちょっと、ワクワク。

ブロンドって事は、ヨーロッパ系?

はああああ。

ヨーロッパの王族(王子様に限る)が、次から次へと頭の中を横切るよ。


「どこかの国か。本当だ。どこかの国の王子であれば、我もこのような林の中で、育つ事もなかった。」

「へっ?」

林の中で育った?

林って、この林!?

私は思いきり振り返って、林の中を見たけれど、そんな集落らしき物は見えない。

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