月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
満更王子様って言うのも、嘘ではなさそう。

だって命令口調でも、それは上から目線じゃないもん。

きっとそういう風に話せって、しつけられたんだろうな。


「……私の母は、劇団の踊り子だった。」

「え、え?」

急に身の上話?

「アリアという名前だった。この砂漠の国へ来た時、一番に迎い入れてくれたのが、この国だった。」

う~ん。

どの時代なのかな。

今の王様?

それとも先代の王?


「劇団は宮殿の裏側の空き地に、テントを張る事を許された。そこを拠点に街で芝居や歌、躍りを披露して稼ぎを得ていた。」

「へえ。」

今で言うサーカスとか、芸能人が地方に巡業するとか、そんなイメージ?

「母は、街でも人気のある踊り子だったそうだ。そんなある日、一人宮殿をさ迷っていると、この国の王子にあったそうだ。」

お、王子!?

まさか、ジャラールさん?

いや、でも、この人、ジャラールさんと同じ年頃に見えるから、それはないか。

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