月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「ナーデルさまあ?」

どうしよう。

この人、違う意味で怖い。

「クレハ!」

「は、はいっ!」

思わず身構えると、ナーデルさんは、私の肩をがっちりと掴んだ。

「我と、け、け、け、け、」

「け?」

「結婚してくれ!」


その瞬間、私の頭の中で、ナーデルさんと教会で結婚式を挙げるシーンが、流れていった。

『花婿、ナーデル。あなたは、病める時も健やかなる時も、死が二人を別つまで、この者を愛し続ける事を誓いますか?』

『誓います!』

そして近づいてくるナーデルさんの唇。


「いやああああああああ!」

私は次の瞬間、ナーデルさんの頬を思いっきり、打っていた。

「ク、クレハ?」

「私には心に決めた人がいるの!その人以外とは、結婚したくない!」

「そんな!名前を知り合った仲じゃないか!」

「そう、名前は教えたけれど……って、えっ?」


名前を知り合った仲?

そんな仲、私聞いた事がないんだけど。

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