月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「だとしても、まだ光清には言わないで。光清には、私から話すから。」

そう言うと、ときわがポリポリと、頬を掻く。

「ときわ?」

「ん~。できれば、そうしたいのは、やまやまなんだけどさ……」

ときわが困った顔をした瞬間、血相を変えた光清が、教室のドアを勢いよく開けた。

「紅葉!体育館の裏に、連れて行かれたって!」


なぜ、もう知ってる!?

ときわを見ると、テヘっと舌を出していた。


「何かされたのか!あっ、髪が濡れている!しかも制服から、ジャージに着替えている!もしかして、水ぶっかけられたとか!?」

お察しの通りですよ。

「何だよ。俺、そいつらの事、探してくる!」

「待って!」

教室を出ていこうとした光清を、私は止めた。

「いいよ。そんな事しなくたって。」

「どうして!いくら俺のファンだからって、彼女に手を出すなんて、あり得ないだろう!」

光清、本気で怒ってくれている。

< 29 / 354 >

この作品をシェア

pagetop