月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「光清、有り難う。その気持ちだけで、本当に嬉しいよ。」

私はそっと、光清の腕を撫でる。

「紅葉……」

「だから今回はこれでね、お願い。」

光清の目を見ながら、わざとニコッと笑った。

「分かった。」

そう言うと光清は、ときわの前だって言うのに、私をぎゅっと抱き締めてくれた。

「でも今度何かあったら、真っ先に俺に知らせて。」

「うん。」

「俺、絶対紅葉を守るから。」



“私がクレハを守る”



ジャラールさんが、月夜の晩に言ってくれた言葉。

今、思い出すなんて。


「紅葉?」

「あ、ううん。何でもない。」

私は光清から、体を離した。

「帰ろう。」

「そうだな。」

光清とバッグを持って、ときわを見た。

「ときわも一緒に帰ろうよ。」

「ご冗談。」

ときわは荷物を持つと、さっさと教室の外へ。

「私はそんな、野暮な人間じゃありません。」

また舌をペロッと出して、ときわは行ってしまった。

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