月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
帰り道、光清は私に気を使いながら、敢えて学校の事を話題にはしなかった。

バラエティだとか、お笑い芸人があーだとか、何の音楽が好きだとか。

「そうだ。紅葉は、最近何にはまってるの?」

光清の何気ない質問に、歩きながら考える。

「ごめん、そんな悩む事だった?」

「ううん。そんな事ない。」

否定しながら歩いて、考えては歩いて。

でも浮かんでくるのは、砂漠の中で見た、あの満天の星空と、妖しいくらいにぽっかりと浮かぶ夜空の月。


「そうだな……星に興味あるかも。」

「星?」

「うん。知ってる?建物とか、何にもないところって、空一面、天然のプラネタリウムみたいなんだよ。」

私ははしゃぐように、その場をクルっと、回ってみた。

「……それって、砂漠での話?」

下を向いて、光清がボソッと呟いた。

「光清?」

「ううん、何でもない。」

そう言うと光清は、私の側をスーっと、通りすぎて行った。

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