月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
『クレハ、よく頑張りましたね。』

「はいっ!」

勢いよく返事をした後に、しまったと思った。

これじゃあまるで、ジャラールさんと一緒にいる為に、この国を救ったみたいじゃないか!

「あっ、いや、その……私は何もしていなくて……」

『いいのです。あなたがいてくれる。それだけでいいのです。』

「私が……いるだけで?……」

精霊は、ほんの少し微笑んだ。

『さて、私はオワシスへ帰るとしましょう。クレハの言う通り、旅人が待っています。』

そう言うと、精霊はだんだんと、薄くなっていった。

「……私も、またオアシスへ行きます。」

『ええ。待っています。』

その言葉を最後に、精霊は消えてしまった。


「有り難う、オワシスの精霊さん。あなたがいなかったら、私はこの世界を知る事すら、できなかった。」

今の言葉が、精霊に届いたかどうかは、分からない。

でも私の持っている緑のペンダントが、一瞬だけ光った気がしたから、それでいいと思った。

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