月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】

二つの世界

その日の夜は、国が守られたお祝いモードに、大広間は酔いしれていた。

「クレハはまだ、お酒は飲めないのであったな。」

ジャラールさんはわざわざ、どこからか見つけてきたオレンジを、目の前で絞ってくれた。

「有り難うございます。」

濃い色のジュースが、一層美味しく見える。

「ナーデルもオレンジでいいか?」

「はい、父さん。」

ジャラールさんはナーデルさんにも、オレンジを絞って渡した。


「さて皆の者。今日は大いに楽しもう。」

王様の乾杯の合図で、兵士も含めたこの国の人達は、一斉に盛り上がりを見せた。

「ああ、美味しい。」

ジャラールさんが絞ってくれた、フレッシュなジュース。

やっとほっとした気持ちになった。


「そうしていると、ただの少女にしか見えないのだがな。」

声のする方を見ると、ヘサーム王子が後ろに立っていた。

「そりゃそうですよ。私まだ高校生ですから。」

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