月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「私の部屋がある宮殿の西側と、大広間の北側は早急に修復に入らねば。」

ジャラールさんを私を連れて、大広間の脇にある、あの長い長い廊下を歩いた。

「ジャラールさん、どこに行くんですか?」

「ああ、すぐそこだ。心配ない。ここは私の生活のテリトリーだ。クレハが自由に使える場所だ。」

私の顔が、一瞬で赤くなる。

ジャラールさんのプライベートな場所を、私も勝手に使っていいって、まるで恋人同士じゃん。

って、恋人同士か。

手を繋いでいないもう一方の手で、熱くなった顔を押さえる。

「着いた。」

キィーッと音がしながら開いた部屋は、とても豪華なものだった。

でも、長い間誰も使ってないみたい。

「ここは?」

私は何気なく聞いた。

「……母上が使っていたお部屋だ。」

「お母様の!?」

「ああ。私が物心つく前に亡くなられたから、俺もあまり記憶がないのだが。」

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