月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
その人を見ると、馬から降りた光清が、なぜか目の前にいる。

「光清……」

「紅葉。夢でも見てんの?」

私は何も言わずに、首を横に振った。

「降りよう。」

「待って!」

手を引く光清を止めた。

「もう少しだけ。ね?」

光清は小さく頷くと、また乗っていた馬へ。

そして、持っていたスマホで、私の写真を撮り始めた。

それに、笑顔でポーズをとる。

これは砂漠ではない事だ。

「光清も撮る?」

「撮って撮って。」

私は自分のスマホを取りだし、光清の写真を撮った。


「次は二人で撮ろう。」

ふいに光清が、私の後ろへ乗った。

高校生が二人乗るのに、小さな乗り物。

光清は私の体を、抱き寄せる。

それがハーキムさんと駱駝に乗った時の事を、私に思い出させた。


『しっかり手綱を握っていろ。』


そうは言っていたけれど、実際はハーキムさんが、太ももや腕で、私の体を固定してくれていたから、私はどんな時でも、駱駝から振り落とされる事はなかった。

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