月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「紅葉。私、ちと思ったの。」

「うん。」

「今回の砂漠にトリップしたのは、明らかにあの本のせいだって思うんだけど、全てが偶然だったのかもしれないって。」


偶然。

それは分かっているよ。

分かっているけれど……


「偶然は次も必ず起こるとは限らない。だから、残念だけど、あの本とは……」

私は立ち上がって、ときわににっこり笑って見せた。

「分かったよ。一緒に探してくれて、ありがとね。ときわ。」

「紅葉……」

「探してもないんだから、仕方ないよ。帰ろう。」

ときわは頷いて、立ち上がった。

お互い、それ以上何も話さなかった。


唯一の救いは、ときわが私と同じように、本が見つからなかった事を、残念がってくれた事だ。

二人で図書室を出た。

窓から夕日が見えた。

私達を暖かく照らしてくれる。


「砂漠ではこんな夕日、見れた?」

「どうだったかな。どっちかって言うと、月夜に浮かぶ星空の方が記憶に残っているかも。」

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