月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
砂漠へ帰りたい。

あの一面砂の世界を、またジャラールさんとハーキムさんと、三人で旅したい。

そして夜は、あの星空の下。

月が綺麗だと、語り合いたい。


「紅葉。なんだか、心ここにあらずだね。」

「うん。悔しいけれど認める。」


この世界が本当の世界で、砂漠の世界が物語の世界。

この世界が現実で、砂漠の世界は夢の世界。

そんな事は分かっている。


「もしかして、王子様を思い出しちゃった?」

光清の言う事は当たっているけれど、まさか“うん”とは返事ができない。

「参ったな。話じゃ駱駝の乗ってたって言うから、メリーゴーランドぐらいじゃ、思い出さないって思ってたのに。」

下を向いて、悲しそうな表情をした光清。

ごめん、光清。

でもそれを口に出して言ってしまったら、それこそジャラールさんの事を思い出した事、認めてしまう。

「あのさ、紅葉。」

「うん……」

「俺をその王子様だって、思えない?」

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