月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「えっ?」

「もっとその王子様の事、俺に教えて。その人になれるように、俺努力するから。」

困ってしまった。

ジャラールさんの事は教えられるけれど、光清はジャラールさんにはなれない。

「……ごめん。無理だよ。」

「やってみなきゃ、分からない。」

「ううん。光清は光清のままでいい。」


ジャラールさんの代わりなんて、誰にもなれない。


「光清は、とてもカッコいいよ。他の人になろうなんて、勿体ないよ。」


光清の代わりだって、誰にもなれない。


「紅葉……」

「有り難う。優しいんだね、光清。」


変わらなきゃいけないのは、私の方。

いつまでも、ジャラールさんを引きずっている私の方。


「ごめん……」

我慢できずに、謝ってしまった。

「謝るな、紅葉。」

それがジャラールさんが言ったように聞こえて、光清を見た。

「今の王子様っぽいでしょ?」

光清、本当に真似したあ~と思ったら、可笑しくて今度は笑えた。

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