月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「うん。」

ときわと光清の関係に嫉妬したなんて、言い訳するのも嫌だった。

「分かった。」

光清の返事を聞いて、私は背中を向けた。

泣きそうになるのを抑えて、足を一歩前に出した時だ。

背中からそっと、光清の腕が私を包む。

「嘘。一人でなんか帰さない。」


うわっ!

そんな台詞、どこから引っ張ってきたんだ!


「光清……」

「だって今一人で帰したら、紅葉の頭の中、その王子様で埋め尽くされる。そんなの嫌だ。」

私は光清の腕を掴んだ。

今度は通り過ぎて行く男子達が、“おっ!”と、驚きの声をあげて行く。

「おいおい!公衆の面前で、堂々とイチャついてんなよ。」

先輩の一人が、わざと聞こえるように言って通り過ぎた。


「光清。もう離して。」

しばらくして、光清は体を離してくれた。

「そんなに、王子様の事忘れらんない?」

光清が怒る姿を見るのは、久しぶりだった。

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