月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
ときわがよく言ってた。

『失恋を乗り越えるには、新しい恋が一番!』

だから、光清の気持ちに応えようって、光清と新しい恋を始めようって、そう思った。

「分からない。やっぱり私、ジャラールさんの事、まだ……」

私がそう言い始めた時、光清は何も言わずに、歩き始めた。

「光清!」

「ごめん。今はその言葉、聞きたくない。」

光清はそのまま、行ってしまった。


しばらくして光清の背中が見えなくなった後、私もようやく歩き始めた。

あんなに優しい光清を、傷つけてしまった。

なんで私、不器用なのかな。

光清やときわみたいに、なんで昔の恋を、隠し通せないかな。


「あれ?紅葉?」

そこへ呑気にときわが登場。

「光清と帰ったんじゃなくて?」

光清の名前が出て、私はたまらず泣いてしまった。

「ええ?何?何があったの?」

ときわはオロオロしながら、私の背中をさすってくれる。

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