月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「ときわ。私、光清の事、傷つけちゃった。」

「はあ?」

ときわは周りを見て、どこも話す場所がないと思ったのか、一旦学校に戻ろうと言った。

再び学校に戻り、昇降口の前にある多目的ホールのベンチに座った私達。

「で?傷つけたって何?」

ときわが、口火を切った。

「私がどうしても、ジャラールさんを忘れられなくて。」

「ジャラールさんって、あの夢の中の王子様?」

私は軽く頷いた。

同じように軽くため息をつくときわ。

ただ沈黙だけが、流れていった。


「ダメか。」

ときわは分かっていたような口調で、返事をした。

「ほら、私。紅葉が夢の世界に行ってる時、間近で見てたでしょう?ああ、本気で好きなんだよねって言ったじゃん。」

私は頷いた。

「だから、光清から『紅葉と付き合うようになった』って聞いた時も、なんとなく上手くいくのかなって。もしかしたら、もう少し時間を置いた方がいいんじゃないかなって、思ってたんだよね。」

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